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第10回平成独楽吟優秀作品

最終更新日 : 2009年2月9日

平成独楽吟部門

賞名 作品 作者
橘曙覧賞 楽しみは福井豪雨のつめあとに耐えた棚田の実り刈る時 愛宕 茂雄
福井県知事賞 楽しみはみどり滴るピーマンに父の名記したシール見るとき 堀江 みどり
福井市長賞 たのしみは桜橋から幸橋(さいわいばし)妻と手つなぎ花を見るとき 浅井 晃
福井県教育委員会賞 たのしみはピアノのふたをそっと開け昔習った曲を弾くとき 北谷 梓
福井市教育委員会賞 楽しみはおやじといっしょにお風呂行き湯けむりの中で話するとき 小山 恭平
福井新聞社賞 たのしみは残業終えしビル街に磨かれし月の顔を見るとき 川口 藍子
日本放送協会福井放送局長賞 楽しみは雨傘一本だけ持ってあなたの帰り駅で待つとき 貝崎 由香
福井中央郵便局長賞 楽しみはいつも書き出し「元気か」と白寿の母の手紙読むとき 阿久津 凍河
熊本市賞 たのしみは車窓(まど)いっぱいにきらきらと故郷の海見えてきたとき 渡辺 克己
歴史のみえるまちづくり協会理事長賞 たのしみは亡き母伝へし磯もぐり大きアワビをはがしとるとき 旭 千代
秀作 たのしみは「テスト終了」声かかり答案の先の空青きとき 杉田 絵里子
秀作 たのしみは古稀ひかえたる高校生スクーリングの門くぐるとき 小池 秀雄
秀作 たのしみは寒さ和らぐ春の日に蟻のはい出る姿見るとき 山下 裕也
秀作 たのしみはわが漉きし紙愛でくるるカナダの君と語り合ふとき 山口 絹子
秀作 たのしみは八十路の体今日もまた応へてくれて作業するとき 田中 智佐子
秀作 たのしみはなまんだぶつとくりかえし温き湯舟に足のばすとき 竹廻間 直子
秀作 たのしみは春の川原で子と競う水切り石が四つとぶとき 萩原 亜季子
秀作 楽しみは黄金の稲穂握らして田毎の出来を父に言ふとき 金栗 木曽
秀作 たのしみは友の手紙を待ち切れず部屋着くまでに封を切るとき 江澤 裕紀子
秀作 たのしみは鼻唄まじりの声あげて雪吊りしている君見てるとき 田中 美代子
秀作 楽しみは八十路の婆を曽孫たちままごと遊びに呼びにくるとき 石塚 禮子
秀作 たのしみはからだだわるなうそつくな足羽の子らが歌うみる時 小川 清
秀作 たのしみはきらきら笑う君を見てこちらもつられて笑みうかぶとき 山本 真理子
秀作 たのしみは待ち合わせより早く来てあなたのことを考えてるとき 水戸守 玲見
秀作 たのしみは弱音を吐いて少しだけあなたの声でしかられるとき 西畠 勇気
秀作 楽しみは凍える足で踏みしめてパリリと張った的を射るとき 古幡 千紘
秀作 たのしみは深夜職場の窓辺より我が家の灯り目に入るとき 田村 靖彦
秀作 たのしみは子の肩幅の広くなりセリフ何やら頼もしきとき 河合 伸治
秀作 楽しみは患者の入浴なし終えてシャンプー匂ふ髪を梳くとき 加島 清子
秀作 楽しみはジャングルジムのその上の空いっぱいに吾子のはしゃぐ時 佐々木 喜代子
秀作 たのしみはぶどう苗植え三年(みとせ)すぎ孫抱上げて初房(はつふさ)とるとき 三屋 捨夫

一般短歌部門

賞名 作品 作者
橘曙覧賞 乳房なきわが胸もとに指ふれて乙女は赤き羽根を挿したり 旭 千代
福井県知事賞 その翼(よく)に乗せしわが愛重すぎて紙ヒコーキは 君へとどかず 白石 葉子
福井市長賞 井戸の水汲む音ありき風呂を焚く火の音ありきわが母ありき 飽浦 幸子
福井県教育委員会賞 背を向けて出た日むなしく帰った日一人が似合う故郷の駅 渡辺克己
福井市教育委員会賞 千里浜に群れをはずれしかもめ一羽寄せくる波に足濡らしいる 米澤 幸枝
福井新聞社賞 熊よけにオカリナ吹きて越ゆ峠眼下に朝刊くばる二戸見ゆ 上坂 信行
日本放送協会福井放送局長賞 ゆめの中ゆめと知りつつ母とゐる渡良瀬のさくらしきりに散りたり 鈴木 ヒサ子
福井中央郵便局長賞 みちのべの熟柿に紅く頬染めて父母待つ村に帰り来よ子ら 谷藤 遊奇痴
歴史のみえるまちづくり協会理事長賞 父の訃に涙こらえて見る空は吾瞬けば星も瞬く 柏屋 敏秋
秀作 突然に逝きし子の部屋そのままに冬近づけばシクラメン置く 小川 みどり
秀作 天国と地獄を見たと揶揄さるる 飛行兵経て坑夫せしわれ 金丸 茂春
秀作 茹で小豆石臼にひく母の辺(へ)に我はひたすらおやつを待ちゐき 茂見 綾子
秀作 旅ひとつ行かずに父は島陰の烏賊釣り船で舵を操る 石坂 寿鳳
秀作 ふり返り天顔残せし弟の軍服姿今も現つに 吉岡 つや子
秀作 鮮やかにペットボトルの羽根回る 木枯らし近き 市民農園 石原 和美
秀作 子に送るミカンを包める宅急便隙間に紅き手袋詰めたり 八木 健輔
秀作 ヘルパーの講習に行く母の背のカイロがあつく燃えているんだ 小橋 辰矢
秀作 杉の花粉 舞ひ立つ山に老夫(おひづま)の倒木を伐るチェーンソーひびく 的矢 晃子
秀作 満月の照らす夜道に虫の声ふくれて我の靴音響く 桑原 岬
秀作 仕事場の父の背中を見ていると真剣になる将来のこと 中西 あゆみ
秀作 山の背に茜を残す空仰ぎひとつふたつと消し難い過去 神馬 せつを
秀作 欠食児の吾を軽ろしと抱き上げし復員の日の父をかなしむ 佐々木 貞子
秀作 店を守る吾の声より自販機の「いらっしゃいませ」ひんぱんに聞こゆ 酒井 初子
秀作 くらがりに白粉花匂ふ夜が来てサガン死せりとラジオは告げぬ 日下部 潦太
秀作 榧の木の芯に沁みいる碁石おとの鹿威にも似たる寂けさ 大井正志
秀作 ふるさとの恋の終わりを告げられし小さき喫茶店貸家となりぬ 木澤和枝
秀作 ほか弁が売れた数だけ世の中に孤独な食事のあるということ 石田真衣
秀作 じりじりと忘れたき恋鶏頭の紅きを見ればまだ燃えており 村上玲子
秀作 あの空に君の名前を書いてみるあの筋雲をキャンバスにして 平松 泰輔
秀作 星凍る人も車も絶えた道老犬と行く角のコンビニ 今井 祐岐

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