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最終更新日:2014年7月3日

福井市景観賞2010表彰作品について


福井市景観賞とは・・・

「福井市景観賞」は、福井市の優れた街並みや風景を維持・創出することで、景観づくりに対する市民意識を高めることを目的に、周りの景観に調和した建物などや、美しい街並みづくりを先導するような取り組み、またそのような景観を守り・育んでいる活動などを市民の方々から幅広く募集し、より優れたものを表彰する制度です。
景観づくりへの意識をより高めていただけるよう、今回から特別賞も設置いたしました。
身近にある美しい街並みや風景を、ご応募ください。

  • 表彰作品位置図

     景観賞2010表彰作品位置図

    部門賞

    森田配水塔[マイアクア]

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市森田新保町12-55
  • 所有者 福井市企業局 
  • 設計者 株式会社 日水コン福井事務所
    森田配水塔マイアクアの写真森田配水塔マイアクアの写真 

    「マイアクア」の「マイ」が「米」を連想することは説明を受けないとわからなかったが、アイデアをカタチにするときの考察には重要なことである。そうすることで、施設全体の機能や存在価値が親しみを持って人々に理解されることになり、そのことはこの施設に対する工事中からの苦情がゼロという評価にもはっきりと表れている。平成初頭の景観ブームに乗ってあちこちでモニュメントの設置や歩道などの素材選択やカラー化などが行われたが、例えば「海だから青」「21世紀だから21m」など、いわゆる「行政側の言い訳」が主としてまかり通っていた記憶がある。アイデアを出すことや「そのロケーションに似合うかどうか」は、プロでなくても考えたり判断することができる。

    この施設のコンセプトやデザイン、ネーミングには福井市第5次総合計画「市民と行政が連携・協働」すなわち「責任を共にする市民参画のまちづくり」の実践として市民参画によるワークショップや一般公募により検討が重ねられ、結果として市民に愛される施設が生まれた好例といえる。

    (講評 金田明彦)

    米どころ福井を支える九頭竜川に寄り添うように、配水塔「マイアクア」は存在している。森田・河合地区への安定給水を目的としたこの福井市の施設は、市民に憩いの場をも提供する鮮やかな芝が印象的な公園をかたわらに備えている。

    ひときわ目を引くのは配水塔の大きさである。地上46mの巨大なコンクリートの塊によってもたらされる独特の重々しい雰囲気は、建物のかたちとファサードに「福井米コシヒカリ」のデザインが施されることによって和らげられている。これには遠近両方からの景観を最大限配慮した努力がうかがえる。もうひとつの特徴は敷設の公園にある。可愛らしいデザインの数体の風車が、配水塔の印象をさらに和らげる効果を獲得している。

    この施設は、全体として清々しく、これまでの浄水場のイメージを一新する景観を形成している。景観とは、目に見えるもののみではなく、形にいたるまでの経緯をも含むものであると考える。この作品を眺めるときに、「市民との協働」という物語を思い浮かべることで、景観形成のあり方を再考する機会になるであろう。

    (講評 下川勇)

    奨励賞

    きもの丸七

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市中央1丁目5-9
  • 所有者 宮田 一成
  • 設計者 株式会社 N&Co.
    きもの丸七の写真きもの丸七の写真 

    街歩きをする際には、街並みとそこに存在する店舗などの外観やそこで生活する人たちの雰囲気が大きな要素になる。ぶらりと歩きたくなる街並みがあることは、住んでいる人たちにとっても旅行者の人たちにとっても大変嬉しいものである。

    福井駅前電車通り商店街にある「きもの丸七」の店舗は、何気なく歩いていても思わず目を留めて見つめてしまう建物だ。大正5年からこの駅前商店街で営業され、4年前に店舗を改装されたとのこと。黒を基調にした格子のシンプルなデザインで、店のロゴは白をバックにしたワンポイントで表現し「和」の雰囲気を演出した店構えはシックで伝統と気品を感じさせる。ショーウインドウのディスプレイには季節に合わせた着物、小物や季節の花を飾るという細やかな気遣いもなされている。ショーウインドウ内の照明の色も季節や展示している着物や外観に調和させる工夫もされており、店舗の至るところに経営者のお人柄が滲み出ている建物だ。唯一つ、閉店後の店舗の佇まいで一部をシャッターで閉めるのではなく、店構え全体がわかるような仕掛けにすると常にすばらしい雰囲気を楽しめるのではないだろうか。

    福井駅から続く駅前商店街こそ福井市の表通りの顔である。「きもの丸七」に触発された店舗が増え、それぞれの店舗が街全体の調和を保ちながら独自の個性を発揮し、立ち止まり思わず入ってみたくなるような気持ちになる店舗となり、みんなが街歩きをしたくなるような商店街になることを期待したい。

    (講評 安野敏彦)

    三國屋善五郎

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市中央1丁目20-27
  • 所有者 山口 築治
  • 設計者 株式会社 サンテン・コーポレーション福井支店

    三國屋善五郎の写真三國屋善五郎の写真

    「北の庄通りのとまり木」

    福井駅周辺の「電車通り」の南側にある「北の庄通り」は、かつては店舗も多く賑わっていた。最近では古い建物が取り壊され、駐車場が増えているエリアである。

    その通りにある「三國屋善五郎」の佇まいは、通行する人の心に「ぬくもり」を与えてくれる。ビルの1階に入っている店舗なので通りに面した一面だけがレンガ調の外壁となっている。店名のロゴは旧字体を使ってデザインされ、外壁の色と調和し、レトロなイメージに統一されている。商品のパッケージなども含めて、CI計画(企業理念を広告や店舗などへ反映すること)を丁寧になされているのが感じられる。

    入り口のガラス扉の奥に店内の見事なお茶の陳列棚が見え、黄みがかった照明の色もまた、人を惹きつける要素である。また、表の立看板などで、季節感のある商品の案内を行い、人を立ち止まらせる効果がある。夜になると通りの灯台のような役割を果たしていると思われる。ただ、このビルの2階より上は空き店舗のようで、入居募集の案内が窓にやや目立ち過ぎるのが難である。

    さて、街は私達人間と同じで「生きている。」常に変化し続けている。現在この店の両サイドも向かいも駐車場である。この場所にこの店舗が存在する意義は非常に大きい。

    ここが基点となり北の庄通りがどう生きていくのか、希望を持って成長を見守りたい。

    (講評 中村裕美子)

    行燈の道

  • 部門区分 風景部門
  • 所在地 足羽川河川敷:幸橋~桜橋
  • 活動団体 社団法人 青年会議所
  • 協 力 福井大学大学院 工学研究科 明石行生准教授
  • 協 力 宝永まちづくり委員会
  • 協 力 福井アーバンデザイン研究会
    行燈の道の写真行燈の道の写真

    “足羽川や足羽山を盛り上げよう”をスローガンに、訪れる人たちを増やしていこうと、足羽川の堤防下に幽玄な光で彩られた「行燈の道」が造られた。

    これは福井青年会議所の方たちが、宝永まちづくり委員会や福井アーバンデザイン研究会の人たちと4年前から手掛けていた活動だ。今年は一般市民から募集した「大切な人へ」をテーマにした家族や恋人や友人への思いをこめたメッセージや、子供たちの絵を行燈に入れ、300mの灯りの帯がやさしい光と共に道行く人々の気持ちを和ませていた。灯りの研究をされている福井大学の先生の協力を得て、蝋燭のように灯りが揺らぐLEDのキャンドルを使う工夫もされている。堤防の上のライトアップされた満開の桜、その下方の優しい光の「行燈の道」が幻想的な風景を醸し出している。

    これからもステキな灯りのプロデュースを継続され、距離も少しずつ伸ばし、桜と共にファンタスティックな光の道が福井市の名所となり、訪れる人たちが増えてくることを期待したい。今後は地域住民の方々や広く一般市民の参加も呼びかけアイディアや工夫を凝らし継続していかれることを強く望みたい。

    (講評 山下信子)

    観月の夕

  • 部門区分 風景部門
  • 所在地 福井市今市町40-1-1
     福井県立音楽堂ハーモニーホールふくい
  • 活動団体 麻生津地区自治会連合会
  • 9月下旬に開催

    観月の夕 応募写真観月の夕の写真 

     

    今年で6年目となる「観月の夕」は、地区内にあるハーモニーホールふくい(音楽堂)前の広場に多数の行灯が点灯されるもので、日常では味わえないような幻想的な空間をつくり出している。2009年からは地区の文化祭と合同で行い、コンサートや舞、模擬店など様々な企画と共に行われ、子供や地区外住民も大勢参加する地区の大イベントとなっている。

    この「観月の夕」は、麻生津地区自治会連合会によって取り組まれており、今年は地区住民約1000人が集まり準備を行った。これまでには、天候や風などに悩まされながらも、子供が描いた絵を行灯に貼るなど行灯のデザインや設置の仕方に様々な試行錯誤が行われて来た。

    このように企画・制作から予算に至るまで、自分たちのできる範囲で取り組んでいるこの活動は、地区内にある音楽堂という「資源」を活かし、音と光が融合させた地域住民主体の素晴らしいイベントであると思われる。

    市民参加とデザイン性を両立させることは、極めて難しいことではあるが、「景観」という観点から言うと、願わくば今後、行灯のデザインや配置の工夫によるさらに洗練された空間づくりと共に、まちとの連続性や日常の住環境にまで景観への意識が波及されることが期待される。

    (講評 原田陽子)

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