伊藤 政臣さん

越前海岸と伊藤政臣さん

(伊藤 政臣さん)

「福井市は第二の故郷」

 今回お話を伺ったのは元お笑い芸人の伊藤 政臣さん。愛知県愛西市出身で、お笑い芸人になるため2011年によしもとクリエイティブ・エージェンシーに入社。コンビとして活動してきたが、仕事に行き詰まりを感じ、休養先として福井へ移住。現在は福井の恐竜をイメージしたご当地ヒーロー「古代竜士バレミアン」として活動。

※ 本記事は取材当時の情報を基に作成しています。

福井に移住を決めたきっかけ

 自身が仕事をしている中でうつ病を発症してしまったのが大きいですね。発症してしまってから自身の周りの環境を変えなきゃと思ったものの、どこに行こうか全然決まらなくて。たまたま福井出身の友人が「福井は騒がしいものもなくて過ごしやすいよ」と声をかけてくれて、最初はうつ病を治すために少しの間滞在するつもりで福井を訪れていました。その時は友人と福井県の坂井市の方でルームシェアをしていました。その半年後、芸人時代の先輩の知り合いが福井市の越前海岸の近くでお店を出していると教えてくれて、その方のところで「バナナボーイ」というバナナジュース専門店を出さないかと誘っていただき、福井市に移住することを決断しました。

移住に対して不安はなかったか

 新しい環境に対する不安はなかったですね。病気に罹ること以上に不安なことはない、と思っていましたし、何より移住先の皆さんが本当によくしてくれたので、不安なことはなかったです。僕が移住した時も、周囲の人は「福井に移住してきてくれたことが嬉しい」とよく言ってくれました。移住者に対して寛容な地域だったんだと思います。

移住すると決めた時の家族の反応

 両親に福井に移住すると伝えた時は、「な、なんで!?」という反応でしたね。(笑)ただ、福井で療養に集中したいということを伝えると、「好きにしたらいい」と言ってくれました。もしかしたら両親としては、福井に移住することで、芸人という不安定な職業から安定した職業に就くことも期待していたのかもしれません。

移住前の福井への印象

 正直なところ、印象は薄かったですね。(笑)旅行先の候補にも挙げたことはなかったです。知っていたことと言ったら、東尋坊、恐竜博物館、越前ガニ、の3つでした。唯一、福井に行ったことがあったのは、芸人時代の仕事の時ですね。その時も、海鮮物が美味しいと思っただけで、特段、これといった印象は持つことはありませんでした。

移住後に感じた福井

 住んでみて初めて魅力のわかるまちだなと感じました。例えば、1泊2日で福井に旅行に来たとしてもあまり魅力は感じることが出来ないかもしれません。ただ、1週間、1カ月、という長い期間福井にいると、その雰囲気というか空気感が心地良いと感じると思います。福井にある観光地より、「福井」という空間に魅力があるのだと思います。

福井での生活について

 福井での生活はめちゃくちゃ幸せです。福井に来る前は、無理して自分を演じていた部分があったのですが、福井に来てからは本当の自分を見つめ直せたし、ありのままでいられる。今は心から幸せだって言えます。
 福井は空気もご飯も美味しいです。そういえば、移住後は毎日のように海の近くで一人でバーベキューをしていました。それもあってか、海が大好きになりました。(笑)
 時々、福井は何もないっていうネガティブな発言を福井に住んでいる人の口から聞くんですけど、最初は「自分の住んでいる県」をそんな風に言わなくてもいいのに、なんて思っていたんですけど、最近は、愛着を持ってそう言っているのかなって感じるようになりました。深夜までやっているお店もないし、レジャー施設も少ない。でもそういう所に割く時間を自分たちの時間に充てられるので、福井の人たちは本当に心が豊かだなと感じます。特に子どもたちを見ていると強く感じます。今、バナナボーイの仕事の傍ら、「古代竜士バレミアン」というヒーローショーの仕事を行っているんですが、ショーの最中に悪役が出てきた時、子どもたちが一生懸命声を出して応援してくれるんです。福井の豊かな自然環境の中で育ってきたからなのか、福井の子ども達は感受性が豊かで自分の感情を素直に表現することが出来るのかもしれません。自分の地元の愛知県の子どもたちと比較してみても、やっぱり違うなと感じました。

福井の人たちのイメージ

 もちろん、住む場所によりますけど、距離感は近めですね。移住当初、近所の方が突然、ガラッと玄関を開けて野菜を持ってきてくれた時は、その距離感の近さに警戒したこともありました。(笑)福井の方たちは移住者に対して「福井を選んでくれてありがとう」という気持ちが強いからなのか、援助の意味合いで本当にさまざまな場面でよくしてもらっています。

福井での生活の難しさ、不便さ

 基本的に移動は車になりますから、車がなかったり車の運転に慣れていなかったりすると不安に感じることはあるかもしれません。僕はもともと車に乗っていたので、そこまで苦に感じなかったです。あと、福井に来てからご飯が美味しすぎてたくさん食べているんですけど、今までとは違って通勤が車での移動になったのですごく太りましたね。(笑)

今後の仕事の目標

 今自分が演じているご当地ヒーロー「古代竜士バレミアン」を、福井といえば、の存在にしていきたいですね。ヒーローショーをやっている時、ヒーローショーを観てくれていた子ども達から、逆に僕の方が元気をもらえる瞬間があったんです。だから今度はヒーローショーの仕事を頑張って、福井の未来のために子ども達が楽しめるエンタメを盛り上げていきたいんです。

移住者に向けたアドバイス

 まずは福井に来てみてほしいですね。福井は癒しを欲している方にはすごくおすすめの場所です。いきなり移住しようと思って来るのではなく、ふらっと立ち寄ってみるのでも大丈夫です。できれば、1日ではなく数日、福井に立ち寄ってみてほしいですね。福井が幸福度No.1になっているその理由は住むと実感出来るんですけど、その一端に触れることは出来ると思います。そして、その時の経験が移住の良いきっかけになるかもしれません。

伊藤政臣さんにとっての福井

 人生を見つめ直せた場所ですね。セカンドキャリア、というと壮大ですけど、第二の人生を始めることが出来るきっかけになりました。めちゃくちゃ好きです、福井。(笑)

 

越前海岸

越前海岸と伊藤政臣さん

(福井に移住してから毎日のようにバーベキューをしていた越前海岸)

鉾島

(福井に移住してから頻繁に通ったという鉾島 )

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