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最終更新日:2023年11月17日
旅館業法が一部改正されました
旅館業の営業者は、公衆衛生や旅行者等の利便性といった国民生活の向上等の観点から、一定の場合を除き、宿泊しようとする者の宿泊を拒んではならないと規定されています。
しかし、新型コロナウイルス感染症の流行時に、感染防止対策や本来提供すべきサービスが提供できない等の意見があったことから、旅館業の適正な運営、旅館従業員の適切な対応となるよう、旅館業法の一部を改正しました。
改正法は令和5年12月13日から施行されます。
旅館業法改正の概要は以下のとおりです。
旅館業法改正の概要
1.宿泊拒否事由の追加
特定要求を行った者の宿泊の拒否
カスタマーハラスメントに当たる特定の要求を行った者の宿泊を拒むことができるようになりました。
なお、特定の要求とは、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。
- 事務・事業への影響の程度
- 実現可能性の程度
- 費用・負担の程度
- 事務・事業規模、財政・財務状況
上記の要求を求められた場合、「要求には応じられないが、宿泊自体は受け入れること」を説明した上で、それでもなお当該要求を繰り返し求める場合は、宿泊を拒むことができます。
特定要求行為の事例
- 宿泊料の不当な割引、契約にない送迎
- 不当な慰謝料の請求
- 不当な部屋のアップグレード、不当なレイトチェックアウト、不当なアーリーチェックイン
- 他の宿泊者と比して過剰なサービスを繰り返し求める行為
- 自身が泊まる部屋に隣接する部屋を提供しないよう繰り返し求める行為
- 特定の従業者のみに応対させること、または出勤させないことを繰り返し求める行為
- 従業員に対し、土下座など、社会的相当性に欠く方法により謝罪を繰り返し求める行為
- 他の宿泊者に迷惑を及ぼす恐れのある泥酔した宿泊者が、従業員に対し、長時間にわたる介抱を繰り返し求める行為
- 宿泊しようとする者が、従業者に対し、対面や電話、メール等により、長時間または𠮟責しながら不当な要求を繰り返し求める行為
特定要求行為には当たらない事例
- 障がい者が宿泊に関して社会的障壁の除去を求めること
- 聴覚障がい者がフロント近くの客室の用意を求めること、筆談でのコミュニケーションを求めること
- 視覚障がい者が部屋までの誘導を求めること
- 車いす利用者が部屋に入られるようベッドやテーブルの移動を求めること、ベッドへの移動の介助を求めること、高い位置にある物を取ってもらうよう求めること
- 精神障がいのある者がエレベータや階段等から離れた静穏な環境の部屋の提供を求めること
- 発達障がいのある者が空調や音響などについて通常設定の変更を求めること
- 医療的な介護が必要な障がい者、重度の障がい者、オストメイト、車いす利用者、人工呼吸器使用者の宿泊を求めること
- 介護者や身体障がい者補助犬の同伴を求めること
- 障がい者が不当な差別的取り扱いを受け、謝罪等を求めること
- 特定要求行為が障がいの特性によるものと本人または同行者からの聴取等により把握できる場合
- 施設側の故意または過失により損害を被り、何かしらの対応を求めること(ただし、要求が不相当なものは、その行為の合理的な理由を欠き、特定要求行為に該当する場合があります。)
2.感染防止対策の充実
特定感染症の感染防止協力依頼
特定感染症とは、感染症法における以下のものとなります。
- 一類感染症
- 二類感染症
- 新型インフルエンザ等感染症
- 指定感染症
- 新感染症
ただし、協力を求める際には、事実上の強制や威圧的な求めはすべきではありません。求めの趣旨等について、理解を得られるよう丁寧に説明した上で、同意を得るようにしてください。
宿泊拒否事由の一部の明確化
既存の宿泊拒否事由の一つである「伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」が「特定感染症の患者等であるとき」と明確化されました。
特定感染症の患者等とは以下のとおりです。
- 特定感染症の症状を呈している者
- 特定感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者
- 特定感染症の患者等
- その他の者
上記の状況の区分に応じて、求める協力の内容が異なります。ご注意ください。
宿泊者名簿の記載事項の変更
宿泊者名簿の記載事項に「連絡先」が追加され「職業」が削除されました。
これにより、感染防止対策の観点から、宿泊者が特定感染症の患者等やその関係者等であった場合に、必要に応じて連絡が取れるようになります。
なお、宿泊者は営業者から請求があったときは名簿記載事項を告げなければなりません。
3.差別防止の更なる徹底等
従業者に対する研修の機会の提供
営業者は、感染症のまん延防止対策の適切な実施や特に配慮を要する宿泊者への適切な宿泊サービスの提供のため、従業者に対する必要な研修の機会を与えるよう努めなければならないこととされました。
宿泊拒否の判断と説明
営業者は、旅館業の公共性を踏まえ、かつ、宿泊しようとする者の状況等に配慮し、みだりに宿泊を拒むことがないようにするとともに、拒む際の事由を客観的な事実に基づいて判断し、その理由を丁寧に説明することができるようにするものとされました。
宿泊拒否の際の記録
営業者は、当分の間、カスタマーハラスメントまたは特定感染症の患者等である事由で宿泊を拒んだときは、その理由等を記録するものとされました。
4.事業譲渡にかかる手続きの整備
事業の承継
事業を譲り受ける者は、承継手続きを行うことで、新たな許可が不要とされました。
承継の際の調査
都道府県知事等は、当分の間、承継手続きにより営業者の地位を承継した者の業務状況について、承継された日から6か月までの間に、少なくとも1回は調査しなければならないとされました。
その他
関係機関と連携し、営業者向け、利用者向け、訪日外国人観光客向けなどに対して、各相談窓口を設けています。
詳しくは、相談窓口ポスターなどをご覧ください。
旅館業の営業者は、宿泊者等への周知に際し、周知ポスターや相談窓口ポスターをご活用ください。
また、従業員への研修等に研修ツールをご活用ください。
お問い合わせ先
福祉健康部保健衛生局 福井市保健所 生活衛生課
電話番号 0776-33-5183 | ファクス番号 0776-33-5473
〒918-8004 福井市西木田2丁目8-8 市保健所2階 【GoogleMap】
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