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最終更新日:2014年7月3日

福井市景観賞2011表彰作品について


福井市景観賞とは・・・

「福井市景観賞」は、福井市の優れた街並みや風景を維持・創出することで、景観づくりに対する市民意識を高めることを目的に、周りの景観に調和した建物などや、美しい街並みづくりを先導するような取り組み、またそのような景観を守り・育んでいる活動などを市民の方々から幅広く募集し、より優れたものを表彰する制度です。
景観づくりへの意識をより高めていただけるよう、今回から特別賞も設置いたしました。
身近にある美しい街並みや風景を、ご応募ください。

  • 表彰作品位置図

     景観賞2011表彰作品位置図

    部門賞

    Chez Pinoli

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市南四ツ居1丁目913
  • 所有者 仁川 一夫
  • 設計者 株式会社 グッドスタッフ
    Chez Pinoli 日中の写真Chez Pinoli 夜間の写真

    一般県道吉野・福井線から中に入った閑静な住宅地にこのレストランはある。なんといってもこのお店は、周辺景観にしっくりとなじんでおり、優雅で落ち着いた佇まいとなっている点が評価されよう。カラーコーディネーション的に見れば、ベージュ系のグラデーションで構成され、穏やかで優しい時が自然と流れる雰囲気が醸し出されている。また、道路から50センチメートルセットバックしてつくられた花壇が、パブリックゾーンとプライベートゾーンとの境界をさりげなく表していること、さらにサインが控えめにデザインされていることなどからも品の良さや感性の素晴らしさが伺える。アプローチは曲線を描き、左手にはウッドデッキ、右手には手入れの行き届いたガーデンがあり、双方をゆっくりと楽しめるようにエントランスへと繋がれている。また、オープンテラスが設けられ、日差しやそよぐ風が心地よい、開放感に溢れた空間がつくられている。隣接する公園の緑の風景も柔らかな雰囲気を助長し、日頃の喧噪を忘れてリフレッシュし、「五感すべてで味わいながら」食事を楽しむことができる。周辺環境に配慮しつつ独自のコンセプトを持ったビジネス展開を繰り広げるこのようなショップが先鞭をつけ、意欲的なお店の数々が今後、福井市内に益々増えていくことを心から期待したい。

    (講評 加藤美子)

    養浩館庭園ライトアップ

  • 部門区分 風景部門
  • 所在地 福井市宝永3丁目11-36
  • 活動団体 宝永まちづくり委員会
    養浩館庭園ライトアップの写真養浩館庭園ライトアップの写真

    風景部門にて栄えある部門賞を受賞した、本件「養浩館庭園ライトアップ」は、書類審査の時点から、選考委員の印象はすこぶる良好であった。あまり広くは知られていないと思うが、養浩館の庭園は、世界的にもきわめて高い評価を受けており、ライトアップを除いても、十分に景観賞に値するものである。
    今回は、本年の3月19日(土曜日)と20日(日曜日)両日、午後6時から午後8時30分まで行われたライトアップが、受賞対象となった。この物件を推薦された市民の方の言葉にもあるように、このライトアップは、2001年から宝永地区の住民が主体となって毎年実施されており、地元の子供たちや住民の方々の手になるおよそ300個もの行灯が庭園内に並べられるその様は、「えもいわれぬ」幻想的な雰囲気を醸し出し、これにハープや二胡の演奏が加わり、見る者の気分はいやがうえにも高まるのである。それは、陳腐な言い方ながら、評判だったドラマ「JIN」さながら、江戸時代にタイムスリップしていくかのようである。とりわけ、「御座の間」からの「鑑賞」は絶品であろう。もちろん選考の際には、この情景は想像するしかなかったのだが、選考日の午後、御座の間に座って、たゆたう時の流れを感じつつ、遠くに思いを馳せたとき、このことが「実感」されたのである。
    最終選考における選考委員の投票も満票を獲得し、文句なく部門賞へと至った。大賞を授けても何ら不思議ではなかったものの、次回以降のさらなる展開・発展を期して、今回は部門賞にとどまった。しかし、内容の充実に一層磨きをかけ、是非とも初の「大賞」受賞へと邁進してもらいたい。

    (講評 白井秀和)

    奨励賞

    居倉町 傾斜地を生かしたまちなみ

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市居倉町地係
  • 管理者 居倉町自治会
    居倉町 傾斜地を生かしたまちなみの写真居倉町 傾斜地を生かしたまちなみの写真

    合併によって、福井市がさらに豊かな漁村や農村を有すまちになってから数年が経つ。ここ居倉町は、福井市の南西に位置し、かつては越廼村だった海沿いの集落である。海と山に挟まれた傾斜地に、50数軒の世帯が佇んでいる。甍の波と雲の波、というのはまさにこの光景であって、黒い瓦の屋根が傾斜に沿って段々に連なっている。そして、細い坂道を辿りながら、振り返ると真っ青な日本海の波が瓦屋根の間から見え隠れするのである。

    まちなみは、傾斜に沿った坂道に玄関口を合わせるため、思い思いの方向で佇んでいる。にもかかわらず、統一感が際立つのは、自然の地形に従いながら、壁面の木材や瓦を同じ素材と形態とした調和を大切にしているからだろう。

    坂があり海が見えるまちといえば、尾道や神戸北野が人気の観光地である。一方で、観光地ゆえの景観破壊もある。ここ居倉町は、そんな問題とは全く無縁で、昔から営々と住民によって培われた漁村の生活風景がそっくり残されている。はさばや干物の籠などかつての風物詩が健在で、米や魚の恵みを受けて暮らしている家族の食卓の情景まで目に浮かぶ。

    自然災害や少子高齢化、経済情勢の荒波にもまれ、昔ながらの風景が日本の各地で消えている。願わくば何の名所にもならず、みんなが仲良く暮らし続ける姿こそ、守り抜くべき景観であることを、ここで共感し合いたい。

    (講評 鈴木奈緒子)

    西洋菓子倶楽部 米松店

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市米松1丁目11-33 
  • 所有者 株式会社 西洋菓子倶楽部
  • 設計者 株式会社 大塚孝博デザイン事務所
    西洋菓子倶楽部 日中の写真西洋菓子倶楽部 夜間の写真

    公園に隣接した閑静な住宅街に、白くシンプルな直線を基調にデザインされた洋菓子店が静かに存在している。実は、今回の評価の対象ではないが、インテリアが実に美しい店舗である。一見、無機質でクールな表情なのだが細部に施された灯り(照明)が優しく温かい。来訪者は日常とは違う異空間に、一瞬戸惑いながらも、すぐ落ち着いてなじむことができる。インテリアの、その室礼(しつらい)は外観デザインにも随所に反映されている。洋風なのだが、どこか和のモダンさを感じさせる簡潔な空間。ふすまや畳柱や敷居、梁に漆喰、というような空間の区分が明快でメリハリのある緊張感がうかがえる。そして夕暮れに障子から柔らかな灯りが広がるように、建物正面には壁面全体が、ガラス越しに光る照明が配されている。まるで巨大な行灯のように。店舗名の主張もほどよく小さく。落ち着いた静かな品格は、日本人の和の感覚にとても近いような印象を受ける。そして市街地周辺地域の生活環境に、都会的でありながら気持ちがリセットされるような凛々しい空間を構成している。

    (講評 西畑敏秀)

    中島屋呉服店

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市春山2丁目16-8
  • 所有者 中島 成利太
  • 設計者 株式会社 日野建築設計事務所
    中島屋呉服店の写真中島屋呉服店 夜間の写真

    呉服町通りに面したこの建物は、創業元禄14年(西暦1701年)の老舗呉服店、中島屋呉服店である。江戸期から戦前、一番の繁華街であった北陸道沿いの呉服町の昔の雰囲気を残している建物である。代々受け継がれた暖簾を入り口にかけ、通りから眺める外観も、一目で呉服店であるのがわかる。昔からの老舗が通りから姿を消していく中で、かたくなに家業にこだわり、また代々受け継がれてきた店舗を、呉服町の景観を損なわないように建て替え、維持し続けていることに、まちなみを守っていこうという意識が強く感じられた。また、呉服店の場所の説明にも、福井市春山2丁目16-8(呉服町通り谷町下ル)と、昔ながらの呼び名を添えるなど、歴史と伝統を感じさせている。古き良き建物やまちなみが消えていく時代の中で、中島屋呉服店さんには、今後とも呉服町の昔ながらのまちなみを守り続けるリーダー的存在であってほしいと願っている。

    (講評 中村潤一)

    FAST WEDDING CLUB Sincere Lily

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市福井市中央1丁目9-26
  • 所有者 株式会社 マーシュ
  • 設計者 丹尾デザイン建築設計事務所
    FAST WEDDING CLUB Sincere Lilyの写真FAST WEDDING CLUB Sincere Lilyの写真 

    私は、駅まで自転車で行く時いつも電車道を通るが、近頃何か白いもの(店)が妙に気にかかるようになっていた。そして、今回の景観賞を機に邂逅するとは夢にも思わなかった。初恋の人に再会した気持ちだ。正直選ばれてうれしい。

    今福井の駅前やまちなかには、もっと元気がほしい、もっと明るいイメージにならないかと多分みんなが願っている。新たな集客施設で賑わいを求めることが端的にはその答えかもしれない。しかし、そこまで大げさなことをしないでも効果を上げることができる。Sincere Lilyは見事にこれを証明してくれた。

    九州出身の私は、越前(福井)は来たときから白の国だと思っている。白山、雪、波、蕎麦の花(百白花:NHK朝ドラ「おひさま」より)、お米、和紙など無垢な美が良く似合う。福井駅やアーケード、駅前の交番等は違和感なく受け入れられる。が、あとが出てこなかった。でも、このお洒落な「白」のまちなか商店街への布石は効いてきている。というのは、駅前のステイタスであるSEIBU(アップルシティ・ロフト側)とMcDoをつなぎ、歯抜け的になりつつあったストリート景観を復活・再生させているのである。景観が可能とする賑わいへの寄与は正にここにある。

    (講評 内村雄二)

    九頭竜川堤防沿いの桜並木と天池河川公園

  • 部門区分 風景部門
  • 所在地 福井市天池町地係
  • 管理者 仁愛女子短期大学(桜並木)
  • 管理者 国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所(堤防)
  • 管理者 福井市(天池河川公園)
    九頭竜川堤防沿いの桜並木と天池河川公園の写真九頭竜川堤防沿いの桜並木と天池河川公園 

    大きく広がる視界にまっすぐのびた河川敷の緑道とそれに沿うように連なる豊かな桜並木。はじめて応募写真を目にした時、実際にこの河川敷に立ち桜の木をこの目で見てみたいと思った。現地に赴くと、果たしてこの場所は期待を裏切らない風景だった。

    この河川公園の醍醐味は河川敷から目の高さで桜の花が楽しめるところにある。そして、花が咲く春はもちろんのこと、葉っぱが生い茂る新緑の季節も、蝉が鳴き強い日差しが照りつける夏の季節も、そして雪が舞う冬もきっと心に残る風景を楽しませてくれるだろう。そんな想像をしながら緑道から見下ろす桜の根本には園舎と気持ちの良い園庭が広がり優しい気持ちにさせてくれる。桜の木は仁愛女子短期大学の所有とのことであるが、作り込まれ過ぎていない風景が心の中に染みこむ。

    この天池河川公園の受賞に、一見どこにでもありそうな何気ない風景の中にある宝物に気づき、地元の誇りとして大切にして欲しいという願いをこめたい。そして、福井市内にたくさん存在するであろう宝物を新たに発見してもらえる気づきのきっかけになってもらえたら嬉しい限りである。

    (講評 田中諭美)

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