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最終更新日:2014年7月3日

福井市景観賞2012表彰作品について


福井市景観賞とは・・・

「福井市景観賞」は、福井市の優れた街並みや風景を維持・創出することで、景観づくりに対する市民意識を高めることを目的に、周りの景観に調和した建物などや、美しい街並みづくりを先導するような取り組み、またそのような景観を守り・育んでいる活動などを市民の方々から幅広く募集し、より優れたものを表彰する制度です。
景観づくりへの意識をより高めていただけるよう、今回から特別賞も設置いたしました。
身近にある美しい街並みや風景を、ご応募ください。

  • 表彰作品位置図

    景観賞2012表彰作品位置図

    部門賞

    福井市脇三ケ町のまちなみ

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市脇三ケ町
  • 管理者 脇三ケ町自治会
    福井市脇三ヶ町のまちなみの写真福井市脇三ヶ町のまちなみの写真

    脇三ケ町は、一乗谷朝倉氏遺跡に近い、田園風景の広がる五十軒余りの集落である。

    今回、応募されたまちなみは、集落の中心で東西に走る道路とその横を流れる用水に沿った板塀のある景観が対象となった。

    全体で何ヶ所かある伝統的な板塀は、いずれも黒を基調にして、草花の模様が入ったものもあり、かなりの長さゆえおだやかな農村のたたずまいと歴史を感じさせてくれる。新設された板塀もあるが、まわりの景観に調和するよう造られている。

    また、古い伝統のある造り酒屋周辺の建物や屋敷林も、北側の清流と調和している。

    さらに西に進むと修復されたばかりの寺院周辺に着く。ここも建物は黒と白が基調で、紅梅の古木やハナモモの花が春に咲くと聞く。近くの用水沿いの事務所建物も草花が植えてあり、道を歩く人にやさしい。

    伝統的な建物も多く、清流の用水に沿ってのんびりと散策したくなるまちなみである。

    (講評 中村 潤一)

     

    福井のまとまりのある農村集落の景観美は、世代交代をする中で、少しずつではあるが崩壊してしまうのではないだろうか。それもこの数十年で、という危惧を常々抱いている。

    脇三ケ町は、のどかな田園と山を背景にした農村集落である。朝倉時代からランジャ酒を造り、福井市都市景観重要建築物等第1号に指定された屋敷林を持つ青木家をはじめ、昔ながらの伝統的な住宅が軒をそろえる。最勝寺や事業所は新築とは思えない程、伝統的な瓦・白壁・意匠を駆使し、あたかも昔からあった表情で佇んでいる。

    なにより、透かしの入った粋な「黒塀」、せせらぎが流れる「水路」、ラカンジュ、紅葉、花モモ、紅梅、すすきなど和の植栽であふれる「庭」、これら3つの要素が、家々をつなぎ、街並みを形づくっている。

    脇三ケ町は、先人の建築作法を、生まれ、育った人が意識的に継承しているのだろう。小学生の男の子がすれ違いざま、「こんにちは」と挨拶をしてくれた。この受賞がきっかけとなり、この子たちが、これからも洗練されたセンスで誇りと愛着を持ち、伝統的な景観美を受け継いでいくことを切に願う。

    (講評 鈴木 奈緒子)

    松本の家

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市松本2丁目26-11
  • 所有者 橋本 正
  • 設計者 株式会社 橋本鉄工
    松本の家の写真

    景観を分類すると自然景観、歴史景観、都市景観という考え方がある。我が国は、自然景観と歴史景観において景勝地、名所などの遺産に事欠かない。都市景観はどうだろうか。より人間的、文化的、視覚的であり自然要素の少ない都市景観のことをタウンスケープとも呼ぶ。ゴードン・カレン(英国建築家・1970代)は、「一つの建物は建築だが、二つの建物はタウンスケープである」と定義する。これは、個々の建物からは得られない視覚的喜びを得られることを意味し、その実現には「関係の技法」が欠かせない。残念ながら近代以降、敷地内に造家ありきを叩き込まれた我が国の建築には苦手なことだ。

    「松本の家」は、一見おしゃれなモダン建築(写真1)であるが、実は隣地の家とセット、即ちある種の関係の技法を有するタウンスケープを御披露目している。驚くのは、敷地境界の設えだ。前面道路境界側には塀も明示杭もなく、砂利敷き側溝を互いに繋ぎ共用するとともに、敷地奥の境界は塀にアイボリーとグレーのペインティングで印づける(写真2)。いわば任意の建築協定、あるいは合意の結晶であり、こういった形でデザインすることはたやすいことではない。私は、ここに佳品としての価値を感じている。

    (講評 内村 雄二)


     

    一乗谷朝倉氏遺跡中の御殿展望所物見台

  • 部門区分 風景部門
  • 所在地 福井市城戸ノ内町
  • 整備者 福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館
    一乗谷朝倉遺跡 中の御殿展望所 物見台の写真一乗谷朝倉遺跡 中の御殿展望所 物見台の写真

    ここにたたずんで広がる風景を見渡したとき、誰もが過去の知らない時代の繁栄に想いをはせるのではないだろうか。

    この物見台は、朝倉館跡や復原町並など遺跡中央部を中心に、壮大なパノラマが広がることによって、これまで見ることができなかった戦国城下町の景色を一望することができる。

    電柱や電線等の人工物がほとんど視界には入らず、自然のままでありながら、人の手や知恵が細部に込められた一乗谷地区全体の景観を保全・継承していくこのうえなくよい事例である。

    (講評 西畑 敏秀)

    奨励賞

    足羽川沿いの家

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市中央3丁目14-5
  • 所有者 蓮浦 義之設計者 清水隆之建築設計事務所
    足羽川沿いの家の写真 

    この住宅は、四季折々の風景が豊かな足羽川沿いの、福井市特定景観計画区域内であるとともに防火地域ともなっている場所に立地しており、近隣の料亭等で意欲的に用いられている歴史的意匠との連続性を明確に保つために、三層にわたるベランダの手摺子を木製の縦格子にするという、特徴的なファサードを形成している。そうすることで、景観を損ねかねない洗濯物が遮蔽され、屋内においては、川面への眺望、日差し、通風が確保され、室外機や物置が目立たないように置かれる。また、植栽も和風のテイストが感じられる竹・イロハモミジ・シマトリネリコを植えることで、豊かで落ち着いた空間が形成されている。これらに加えて、夜間の照明は色温度を低く抑えることで落ち着いた雰囲気が醸し出され、アプローチにおいても、建替え前の建物に用いられていた笏谷石が加工され、踏み石に再利用されている点もまた、非常に魅力的である。

    このように、生活感が漂わないよう、デザイン全体や緑化に意識的な高度の工夫が施されることで、街なかに建つ住宅としてのプライバシーを確保しながらも魅力ある都市景観を形づくる家屋が、今後も引き続き建てられてゆくことを期待したい。

    (講評 加藤 美子)

    北国街道、今市・浅水・浅水二日町辺りの街並

  • 部門区分 まちなみ部門
  • 所在地 福井市今市町、浅水町、浅水二日町
  • 管理者 今市町自治会、浅水町自治会、浅水二日町自治会
    北国街道、今市・浅水・浅水二日町辺りの街並の写真 

    福井市南部、古くから北陸道の宿場町として開けていた浅水地区を走る街道は今でもよき姿を残している。

    街道を鯖江方面に向かって進むと、今市辺りの集落で美しい伝統的民家の風景が迎えてくれる。街道のゆるやかなカーブに沿って連なる塀や手入れの行き届いた蔵が、さらに風景に味わいを持たせ目を楽しませる。そして集落の合間には神社やお寺が静かにたたずむ。

    集落のなかほど、西行法師や松尾芭蕉が句を詠んだ朝六ッ橋からさらに30mほど南下すると、明治11年に明治天皇が北陸地方を巡幸された際に休憩所となった池田家が、当時の趣きをそのまま残している姿に出会う。

    ここには暮らしとともに積み重ねてきた歴史が確かに受け継がれている。しかし、この街道に住まう人々は特別な気負いもなくただ日々の暮らしを続けてきただけかもしれない。そうした歴史あるまちなみに誇りを持ち、今後も大切に守り続けて欲しい。その願いをこの受賞に込めたいと思う。

    (講評 田中 諭美)

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