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最終更新日:2009年5月25日

清水地域の文化財 木造腹帯地蔵菩薩像


しみずっペディア 木造腹帯地蔵菩薩像

 木造腹帯地蔵菩薩像は、像高52cm、平安時代末期に中央で製作されたものとみられます。


1.概要
 像高52cm、左手に宝珠を持ち、右手は中指と薬指を折り曲げています。整った優しい面相、衣の流麗な表現などから平安時代末期に中央で製作されたものとみられます。「帯附地蔵尊由来記(おびつきじぞうそんゆらいき)」によれば平野山地蔵院南朝寺(なんちょうじ)に安置されていた御本尊の御分身で、本尊は奈良時代の高僧行基(ぎょうき)の御作であったと伝えられています。
 なお、地蔵書薩の下衣の帯の結び目があらわれていることから腹帯地蔵と呼ばれ、安産の地蔵として信仰されています。


2.その他
 腹帯地蔵尊像は安産の地蔵菩薩として、昔から近郷の人々に崇められています。
 元南朝寺(なんちょうでら)にあった寺(平野山地蔵院)に安置されていて、本尊の御前立尊といわれていす。この像は、室町初期頃の作(当初はそう考えられていました。)と推定されています。
 像高は、五十二センチメートルで内ぐりがあり、寄(よせ)木造りの座像です。
 左手に宝珠(ほうじゅ)(願いごとをかなえてくださる珠(たま))を持ち、右手は、中指二本を内に折り曲げた「知吉祥(きっしょう)」の印を結んでいます。背には宝珠輪光背(りんこうはい)という輪があります。
 下腹部に裳(も)をつけ、その結び目が妊婦の腹帯のように見えるので、安産の身替り地蔵尊として昔から信仰されてきたようです。
 像は、漆地の真っ黒な像ですが、首下に金箔が残っていて、ふくよかな慈悲のあふれた姿は、美術的にも価値の高いものです。
 笹谷町の自治会長が大事に管理され、丹雄茂太郎さん(平成元年当時)が、お札の世話をしておられます。毎年、六十人ほど(平成元年当時) の妊婦が拝礼に来られるとのことです。
 また、八月二十四日には、乗泉寺で、地蔵盆会(え)が行われています。


3.南朝寺
 笹谷の腹帯地蔵の由来を伝える古文書には、奈良時代に平野山地蔵院南朝寺という名の寺(笹谷に明治時代まであったと伝えられています)があり、そこに高僧「行基(ぎょうき)」が自ら彫った地蔵を安置していたこと、その地蔵が火災で失われたことが記されています。次いで幸いなことに地蔵の写しが残っていたので、室町時代の文安元年(一四四四)に貞勇和尚が南朝寺を再興したときに地蔵を安置したとされています。
 さて、南朝寺のものと伝えられる仏像は二体が残っており、そのうちの一つが古文書にある地鷺です。しかし、古文書に記されているような奈良跨代のものではなく、平安時代も末頃の木像です。高さ五十二センチの座像で、ふくよかな良いお顔をしています。この像には下着の結び目があらわされているため、古来より安産の地蔵として人々に信仰されています。
 古文書では地蔵が行基によって彫られたものであることを伝えていますが、これは江戸時代に流行した行基信仰の中で生まれた伝説である可能性を指摘できると思います。
 また、南朝寺という名前から室町時代の南北朝の南朝とのかかわりを考える人もいます。しかし、腹帯地蔵の由来を伝える古文書に奈良時代の創建と書かれ、これに加えて平安時代の仏像が残っていることは、南朝寺と室町時代の南朝とが関係が無いことを示しているようです。
 南朝寺は今ある資料から、平安時代の末頃に創建され室町時代に貞勇和尚が再興したことがわかっていますが、明治時代に廃寺となってしまいました。しかし、腹帯地蔵は人々の信仰のなかで今も守リ続けられています。
 その腹帯地蔵は笹谷区が管理していますので、見学を希望される場合は区に申し込む必要があります。
 残るもう一つの地蔵は鎌倉時代の、穏やかなお顔をした銅造の十一面観音座像の懸仏(かけぼとけ)(お堂の壁面に掛けるためのもの)です。
 この懸仏については清水郷土資料館で展示していますのでぜひ足をお運びください。


4.安置されているお堂
 道の少し高台に腹帯地蔵尊と書かれた石標と石段が見え、石段を登ると近年建て替えられた真新しい立派なお堂があり、安産の地蔵さんとして信仰を集める腹帯地蔵さんが安置されています。
 笹谷の腹帯地蔵さんは、明治時代はじめ頃までは南朝寺地蔵院に安置されていたもので、南朝寺が廃寺となったとき、笹谷の旧家が譲り受け大事にお守りしていました。その後、昭和のはじめに現在地にお堂を建てて安置し、町内でお守りしています。


5.安産
 本来は帯付地蔵と言い、下腹部に腰布と呼ばれる裳(も)を着け、その結び目が妊婦の腹帯のように見えることから、腹帯地蔵と呼ばれるようになりました。
 毎年、正月には白米の洗い米をお供えし、妊婦がこの洗い米三粒をお札に包んで飲むとご利益があり、安産できるということです。


6.交通アクセス
 京福バス茱崎線「南朝時」又は「笹谷」停留所を下車、徒歩約10分。


7.周辺

  • 賀茂神社(加茂町)
  • 清水西小学校 (大森町)
  • 清水西公民館 (大森町)
  • 睦月神事会館 (大森町)
  • 旧清水総合支所(小羽町)
  • 地域活性化施設(平尾町)
    木造腹帯地蔵菩薩像 (pdf)

8.参考文献など

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