最終更新日:2009年1月17日
4章 中心市街地活性化の基本方針
旧中心市街地活性化基本計画
1章へ.「基本計画の背景と位置付け」
2章へ.「中心市街地活性化の課題」
3章へ.「中心市街地の区域の設定」
4章.中心市街地活性化の基本方針
1.中心市街地活性化の理念
2.中心市街地活性化の目標
3.中心市街地活性化の基本方針
4.中心市街地の将来像
(1)理念・目標の展開
(2)中心市街地の骨格構造
5章へ.「市街地の整備改善と商業等の活性化の一体的推進計画」
6章へ.「その他一体的に推進すべき事項」
福井市の中心市街地は、藩政時代からまちの中心地として栄え、古くから多くの人やもの、情報が行き交い、地域独自の生活文化を育む場としての役割を果たしてきた。相次いだ戦災・震災による打撃にも不死鳥のごとく蘇り、今日では近代的な市街地が形成され、県都の中心地としての多様な機能集積が進み、圏域発展の核としての役割を果たしてきた。
しかしながら、人口の減少、商業・公益施設の郊外化等の中心市街地の相対的な地盤沈下は、圏域の経済活動の停滞や地域で培われてきたコミュニティ・文化の衰退を引き起こしている。
中心市街地の再活性化は、こうした問題を克服しつつ、これからの時代ニーズに対応した新しい消費や余暇、産業、居住にわたる生活文化の創造の場として中心市街地が機能するよう、必要な取り組みを行っていくことにほかならない。
すなわち、新しい生活を提案する商品、情報との出会いを通して、消費活動そのものが新しい生活文化として花開くこと、文化活動や遊び、もてなしを通して充実した余暇生活を過ごせること、地域・圏域つながるような新たなビジネスチャンスが得られること、ゆとり、便利さ、快適さを備えた生活の場として、また、新しい暮らし方を提案する場として中心市街地が機能していくことである。
こうした新しい生活文化の創造は、新しい出会いや暮らし、遊びといった諸活動が展開される中で徐々にかたちづくられていくものである。
人・もの・情報が出会い、様々な活動が展開される中で新しい生活文化が生まれ、人が暮らし、生活を支える多様な商品や情報、サービスが提供されゆとりと創造性ある豊かな市民生活のあり方を提案、リードし、さらに地域固有の歴史・文化を大切にしながら、ニーズに沿った遊びやもてなし、憩いといった諸活動が展開されるような環境づくりが求められる。 中心市街地の活性化とは、過去の歴史の中で培われてきた物的・質的ストックを踏まえつつ、中心市街地が将来においての新しい生活文化創造の場(舞台)となるよう、「出会い」、「暮らし」、「遊び」が彩るまちづくりを展開していくことである。 また、こうした中心市街地が再活性化することにより、市全体、ひいては周辺地域も含めた活性化へと波及させていくことが期待される。 |
2.中心市街地活性化の目標
理念を達成するための目標を次のとおりとする。
広域交流の展開 |
鯖江・武生との連合都市圏や大野・勝山をも含めた広域圏の中心として、県都として、さらには日本海国土軸の中心地としての役割を果たすよう、広域交通体系の充実や商業・行政・業務・文化・情報・コンベンション等各機能の中枢・拠点機能の集積により、新たな広域交流の展開を図っていく。
地域産業の活性化 |
新しいビジネスチャンスとの出会いを生み出し、育てるために、インキュベーター機能の導入等により繊維産業や精密機器関連業等の既存産業の新規事業展開やソフトウェア業等の都市型新事業の立地を誘導し、地域産業の活性化を図っていく。
地域コミュニティの形成 |
住宅当り延べ面積が全国でトップクラスの福井県の特性を踏まえつつ、単身世帯・家族世帯・高齢者世帯それぞれのニーズにあった住宅供給を積極的に進めるとともに、緑とオープンスペースの確保やユニバーサルデザインの推進等による生活環境の充実を行い、定住人口の回復を誘導し地域コミュニティの再生を図っていく。
新・市民生活の提案 |
世帯当たり教育費や大学進学率、女性就業率、平均貯蓄率の高さなど地域固有の経済・社会動向、及び小子化、高齢化、情報化等の新しい時代潮流に適切に対応する生活関連の商品や情報、サービスの提供を充実し、常に新しい市民生活のあり方を提案しリードしていく。
余暇生活の実現 |
多様化・個性化する市民の余暇生活ニーズに対応しうる各種文化・学習・娯楽施設やサービスの充実により、心と生活のゆとりの実現を図っていくとともに、地域の歴史・文化資源を活用した都市型観光の振興を図り、東尋坊や永平寺に代表される広域観光の拠点としての役割を果たすよう施設・サービスの充実を図っていく。
時間消費型商業地の形成 |
より一層の集客と滞留時間の延長につながるよう既存商店街等における店舗の業種構成の誘導、品揃え・サービスの充実による魅力づくりを図るとともに、そのための推進組識を確立する。あわせて、公共交通等の交通体系の充実や歩行環境の整備等により、あらゆる階層の人々にとっての快適な来街・回遊のための環境を整備することにより、集客力が高い時間消費型の中心商業地の形成を図っていく。
以上の目標を総合的に実現することによって、居住者にとっては暮らしの中で、来街者にとってはまちに滞在する中で、現在よりも1時間多く楽しむことができるまちとなることを目指すものとし、次のようなキャッチフレーズを設ける。
3.中心市街地活性化の基本方針
目標にそって行動する方向性としての基本方針を次のとおりとする。
回遊性のある中心市街地を再構築する |
居住者や来街者が1時間でも多く楽しめるよう、既存の歩行系・車両系ネットワークをより明確にし、歩道・オープンスペース等の歩行者空間の確保やユニバーサルデザインの導入等により、回遊行動を誘発し歩き巡るための環境を整える。
福井らしさを感じさせる特色ある街並みを形成する |
県都福井市の顔となる場であり、居住者や来街者等が福井らしさを感じ取れるよう、足羽川・福井城址・北の庄跡・北国街道等、福井の自然、歴史、文化等の資源と調和した人を引き付ける街並みを、公共空間と民有空間と一体的に形成する。
新たな機能立地の受け皿となる床を充実する |
福井市の中心市街地の多彩な魅力を生み出すよう、定住につながる住宅供給や集客につながる高感度な機能立地の受け皿となる床を充実する。
来街者が楽しく快適に行動できる商業基盤を形成する |
中心市街地の主な目的となる消費行動から様々な滞在のあり方が派生するよう、街路灯やアーケード等連続的な商店街整備を図り、消費拡大を誘発する商業基盤を整備する。
福井の産業・伝統を反映する魅力ある店舗集積、個性豊かな商業地を生み出す |
魅力ある中心市街地は魅力ある店舗の集積であり、空き店舗へのインキュベータ機能や繊維産業の展開の場づくり、戦略的なテナントミックスを進め、来街者の好奇心を刺激する個性豊かな奥行きのある商業地を生み出す。
中心市街地の個性を演出する個別店舗の向上を目指す |
魅力ある店舗集積を支える個別店舗が活力を持てるよう、店舗の高質化、起業・設備投資の支援、心の通ったサービス提供など、基本的な個別商業活動のレベル向上を目指す。
賑わいや来街目的を生み出す先端的な情報・話題を提供する |
消費目的のみでない多彩な来街を生み出すよう、高度情報通信(インターネット)の活用や地域に根差したイベント展開など、常に訪れる人の知的好奇心を満たしうる話題提供に努める。
やる気を生み出し効果的に事業推進を図るリーダー・組織を育成する |
提案した取組みが効果的に運営されるよう、まちづくりリーダーの育成やまちづくりの情報交換の場のプロデュースなど、永続的なまちづくりにつながる次世代の人材育成を図る。
官民の協力・連携により、今までより効果的な取組みを目指す |
より高度な要請に応え得る効果の高い活性化事業が展開できるよう、官と民の協力・連携体制の確立により、福井の英知を結集した今までより効果的な取組みを目指す。
各種事業の一体的推進により、様々な側面から見た相乗効果を目指す |
中心市街地活性化の複合的な目的達成がなされるよう、ハード整備とソフト事業を一体となって展開し、様々な側面からみて相乗効果が得られ、生きたまちづくりにつながる取組みを目指す。
4.中心市街地の将来像
(1)理念・目標の展開
福井市の中心市街地活性化の取り組みは、「出会い、暮らし、遊びが彩るまちづくり」といった理念の元に市民、商業者、行政が一体となって諸施策を展開し、これらが複合的に作用することにより、将来において「新しい生活文化の創造」につながるまちづくりを進めていくこととする。
理念を具体化する中心市街地活性化の目標にそった基本方針の具体的な取り組みにより、どのような場所でどのような市民の活動の姿となって展開されるのか、その「場」と「人」との関わり方は市民が観客ではなく参加して都市活動を演じることである。
そのため、特性を助長し機能分担を図りながら特色ある中心市街地を形成することを踏まえ、中心市街地を7つの舞台に色分けした。
特色付けられた7つの舞台が、その機能を発揮しながら相互に連携し、人々が多用・活発な都市活動を演じることにより、中心市街地の将来的役割である4つの生活文化の創造、すなわち「新しい都市生活文化の創造」が実現する
(2)中心市街地の骨格構造
今後、中心市街地全域にわたって回遊を誘導するために、歩行者優先のまちづくりを進めることを基本に据え、以下のように中心市街地の骨格となる構造の方針を定める。
1.機能導入の方針
中心市街地活性化のためには、様々な機能を複合的に導入する必要があり、その導入方針は以下のとおりとする。
活性化の目標 | 導入機能 | |
広域交流の展開 | ・行政機能 ・業務機能 ・商業機能 ・飲食機能 ・宿泊機能 ・居住機能 ・娯楽機能 ・文化機能 ・情報機能 ・交通機能 ・学習機能 ・医療・福祉機能 ・コンベンション機能 ・インキュベーター機能 ・コーディネート機能 |
|
地域産業の活性化 | ||
地域コミュニティの形成 | ||
新・市民生活の提案 | ||
余暇生活の実現 | ||
時間消費型商業地の形成 |
2.土地利用方針
前節で設定した7つの舞台を形成していくためには、各々の区域区分毎に適切な機能分担を図りながら、特徴あるまちをかたちづくっていく必要があり、そのため以下のような土地利用方針を設定する。
区域区分 | |
福井駅周辺
~「新たな発見」広域交流の舞台~ |
土地区画整理事業にあわせて新たな商業機能、業務機能、文化機能、情報機能、学習機能、宿泊機能、交通機能等を複合的に配置させながら、福井の歴史文化を感じさせ、市民が誇りを持てる近代的で風格ある街並みを形成する。 |
中央1丁目周辺
~「何かある」“時間遊び”の舞台~ |
大型店や専門店、飲食店等集客の核となる多様な商業機能、飲食機能、インキュベータ機能、コーディネート機能を配置させながら、土地の高度利用を積極的に推進し、街角広場等の緑のオープンスペースを確保し、連続性のある街並みを形成する。 |
中央2丁目周辺
~「都市で住まう」提案型生活の舞台~ |
都心居住実現の中心的な役割を担う場として、居住機能、医療・福祉機能を配置し、足羽川のオープンスペースと好対照をなし、一体としてまとまりある景観をつくるための、中高層による街並みを形成する。 |
中央3丁目周辺
~「大切な人をもてなす」ゆとりの舞台~ |
福井を代表するアフターコンベンション、迎賓の場として、飲食機能、宿泊機能、業務機能を配置させながら、歴史ある料亭街としての、足羽川の河川景観と調和する情緒ある街並みを形成する。 |
大手1・2丁目周辺
~「持続可能な住まい方」コミュニティ再生の舞台~ |
都心居住を支える商業機能、業務機能、居住機能を配置させながら、低未利用地の宅地利用を進め、まとまりある街並みを形成する。 |
大手2・3丁目周辺
~「ここで働く」時代を象徴する舞台~ |
広域交流の場として行政機能、業務機能、コンベンション機能、文化機能等を配置させながら、福井のシンボルであるお濠と調和するよう、建物の色彩やスカイライン等に配慮するなど象徴的な街並みを形成する。 |
順化1・2丁目周辺
~「仲間と遊ぶ」ふれあいの舞台~ |
昼夜を通じたにぎわいを生み出すために、商業機能、飲食機能、業務機能、娯楽機能、居住機能を配置させながら、かつての中心商業地としての歴史性に配慮した飲食店舗と住宅との調和に配慮した街並みを形成していく。 |
3.拠点形成の方針
来街者の集散のための交通結節機能と集客力の強化、メリハリのある市街地構造を形成するために、以下のような拠点を形成する。
区 分 | 方針 | ||
福井駅
~広域交通結節拠点~ |
日本海国土軸の中心地の玄関口として、福井の歴史文化を感じさせ市民が誇りを持てる風格ある空間を形成しながら、人々の離合集散の場となる交通の結節拠点を形成していく。 | ||
大名町交差点周辺
~回遊結節拠点~ |
中心市街地の回遊性を向上させるため、大名町交差点周辺街区に人々を引き付ける仕掛けとなる機能立地を図りランドマークとなる建築物を誘導しながら、交差点により分断されている歩行動線を有機的に結び付け、周辺街区間の人の流れを結節する拠点を形成していく。 | ||
福井城址
北の庄跡 呉服町周辺 ~歴史空間拠点~ |
福井城址において、文化機能を配置するとともに、福井市の歴史を象徴する空間を形成しながら、福井の歴史を象徴し、まちのシンボルとなる拠点を形成する。
また、北の庄跡の公園・神社を中心として、昼夜のにぎわいを生み出す商業機能を配置し、歴史的空間と調和する情緒ある商業地のイメージを創出しながら、固有の歴史を感じさせ、人々の回遊を誘発する拠点を形成する。 さらに、呉服町の旧北国街道沿道において、当該エリアの歴史性に着目して城下町の歴史・文化を感じさせる店舗立地や街並み形成を行い、都市型観光の拠点づくりを進める。 地区外から中心市街地への入口にあたる交差点や橋梁等において、建物の色彩やデザイン、交差点角地のオープンスペースの確保と緑化等の印象的な環境整備、景観形成を行い、中心市街地の領域性を感じさせる空間を形成する。 |
||
ゲート空間 |
4.軸形成の方針
歩行者の回遊のための空間確保と車両の円滑な交通処理、来街者の動線と連動する連続的な機能配置、調和ある街並み形成し連携を支援するため以下のような軸の形成を図る。
区 分 | 方針 |
地区主要骨格軸 | フェニックス通りと中央大通りにおいて、地区内の中心的な歩行者・自動車の動線となり通過交通を処理するよう、歩行者・自動車の円滑な交通を図りながら、フォーマルなイメージの空間形成に向けて歩道確保・歩行空間・緑化・スカイライン及び壁面位置統一など連続性ある街並みを形成することにより、中心市街地の主要な骨格となる軸を形成する。 |
地区骨格軸 | 中心市街地内の主要な移動経路、周辺街区からの集散道路となるよう、自動車の円滑な交通処理を図りながら、路線毎の特徴にあわせた道路緑化や沿道の街並みを形成し、土地利用毎の領域性を持たせる地区骨格軸を形成する。 |
歩行者回遊軸 | 既定計画の「歴史のみち」を活用しながら、中心市街地の回遊性を持たせるために、各舞台を結ぶよう安全・快適な歩行空間を確保し、道路修景・歴史文化資源の活用・沿道建物のデザイン誘導・緑化推進・ポケットスペース等の形成を図りながら、福井市固有の自然・歴史・文化を感じる中心市街地の回遊ルートとなる軸を形成する。 |
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